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エッダ 古代北欧歌謡集 [Sources in vernacular]


谷口幸男訳
エッダ 古代北欧歌謡集
新潮社 1973年 310+14頁

エッダ/巫女の予言/オーディンの箴言/ヴァフズルーズニルの歌
グリームニルの歌/スキールニルの歌/ハールバルズの歌/ヒュミルの歌
ロキの口論/スリュムの歌/ヴェルンドの歌/アルヴィースの歌
フンディング殺しのヘルギの歌I/ヒョルヴァルズの子ヘルギの歌/フンディング殺しのヘルギの歌II
シンフィエトリの死について/グリーピルの予言/レギンの歌/ファーヴニルの歌
シグルドリーヴァの歌/シグルズの歌(断片)/グズルーンの歌I/シグルズの短い歌
ブリュンヒルドの冥府への旅/ニヴルング族の殺戮/グズルーンの歌II/グズルーンの歌III
オッドルーンの歎き/グリーンランドのアトリの歌/グリーンランドのアトリの詩/グズルーンの扇動
ハムジルの歌/バルドルの夢/リーグの歌/ヒュンドラの歌
グロッティの歌/フン戦争の歌またはフレズの歌/ヒルデブランドの挽歌

スノリのエッダ/ギュルヴィたぶらかし

解説
参考文献
索引

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エッダは通常『王の書 Codex Regius』に記されている詩エッダと、スノッリによって纏められた散文エッダに分かれる。本書は詩エッダが中心となるが、同じ著者が大学の紀要に散文エッダの邦訳を掲載している。

谷口幸男訳注「スノリ『エッダ』『詩語法』」『広島大学文学部紀要』43特揖号3(1983), 122頁
谷口幸男訳注「スノッリ・ストゥルルソン『エッダ』「序文」と「ハッタタル(韻律一覧)」(1)(2)(3)」『大阪学院大学国際学論集』13-1(2002), 203-30頁, 13-2(2002), 125-54頁&14-1(2003), 99-130頁

また、アイスランド学の大家の校訂による「巫女の予言」の邦訳もある。
シグルズル・ノルダル校訂(菅原邦城訳)『巫女の予言 エッダ詩校訂本』(東海大学出版会 1993)

ノルダルによるスノッリ研究をしっかりと読んでみたいが、とっつきの悪い現代アイスランド語であるため躊躇する。

実はエッダの梗概は、明治時代初頭の日本に伝えられていた。もちろん北欧語からではない。明治に入り広く西洋の知識を導入しようとした文部省が、英学者箕作麟祥(1846-97)を監修者として「Cahmber's Information for the People」(1833)の第四版(1860)を底本とした「百科全書」全88巻を企図し、その一冊として薗鑑訳『北欧鬼神誌』(1878)が出版された。その興味深い過程と内容が次の論文で明らかにされている。
谷口幸男「『北欧鬼神誌』について」『大坂学院大学国際学論集』4-2(1993), 143-62頁

また、当時の百科全書について、
杉村武『近代日本大出版事業史』(出版ニュース社 1967)
福鎌達夫『明治初期百科全書の研究』(風間書房 1968)

エッダは古典なのだから、ベーオウルフやロランの歌がそうであるように、様々な翻訳があってもよいと思う。

写真は『王の書』。かつてコペンハーゲンの王立図書館に保管されていたが、現在はアイスランド大学付属アルニ・マグヌッソン研究所にある。かつてここを訪れたとき研究員に「いま見ることできる?」と聞いみたが、「無理。でも見ても仕方ない小汚ねえちっちゃな本だよ」と言われた。展示室に常時公開されている『フラート島本』の彩色画は大変美しかった。


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