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Vikingernes verden [Medieval Scandinavia]


Else Roesdahl
Vikingernes verden. Vikingerne hjemme og ude.
København: Gyldendal, 7 udg. 2001(1 udg. 1987), 324 s.

Forord
Indledning
- Vikingefascinationen
Vikingetiden og kilderne
- Studiet af vikingetiden
Skandinavien
- Geografi, naturforhold og kulturfælleskab
- Menneskene
- Sprog, skrift, personnavne
- Samfundet
- Konger og riger
- Til lands og til vands
- Livsgrundlaget og bebyggelsesforhold
- Omsætning, sølv og varer
- Handel og byer
- Befæstninger, våben og kamp
- Den gamle og den ny religion
- Kunst og digtning
Ekspansionen
- Baggrund og begyndelse
- Vesteuropas fastland
- Skotland og Isle og Man
- Irland
- England
- Island, Færøerme, Grønland og America
- Østersøområdet, Rusland, Byzans, Kalifatet
Afslutning
- Vikingernes verden

Oplysninger om illustrationerne
Litteratur
Register

* * * * * * * * * *

1942年生まれの著者は、コペンハーゲン大学で歴史学と考古学の学位を取得し、現在オーフス大学中世考古学主任教授。おそらく現在世界で最も著名なヴァイキング学者であり、今なおキリスト教化の問題を中心に精力的に研究を発表している。私の知る限り、オラフ・オルセンやホルガー・シュミットとともに行ったフィアカット遺構の調査記録を研究の出発点としている。その集大成として、

Else Roesdahl, Fyrkat. En jysk vikingeborg, II: Oldsagerne og gravpladsen.(Nordiske Fortidsminder Serie B in quarto 4). København: Lynge og Søn, 1977, 233 s.

その直後、ヴァイキング時代デンマークに関する概論を発表し、ヴァイキング時代研究者としてその地位を確立した。
Else Roesdahl, Danmarks vikingetid. København: Gyldendal, 1980, 325 s.

本書にはブリティッシュ・ミュージアムから発行された英訳(1982)もある。いずれにせよ、当時の考古学の成果をふんだんに盛り込んでおり、手引きとして便利である。そして1987年には『ヴァイキング世界』の初版が現れ、1991年には英訳されペンギン・ブックスに収録された。おそらく英語圏の大学では本書がヴァイキング時代の教科書として採用されているだろうから、最も人口に膾炙したヴァイキング像はロエスダールのものとなるのだろう。本書が出るまでペンギン・ブックスには、日本語への翻訳もあるヨハネス・ブレンステッズのヴァイキング概論が収録されていたが、ロエスダールの著書がそれに取って代わったということになる。

ヨハネス・ブレンステッズ(荒川明久・牧野正憲訳)『ヴァイキング』(人文書院 1988), 462頁

ヨハネス・ブレンステッズはデンマークを代表する大考古学者であり、「Danmarks Oldtid」三巻を仕上げるとともに、英独仏で論考を掲載する国際誌「Acta Archaeologica」(1930-)の創刊に尽力した。後者は出版社を変えながら現在でも継続し、北欧語の「Aarbøger for nordisk Oldkyndighed og Historie」と並んで北欧の先史ならびにヴァイキング研究にとっては不可欠の論考を掲載する。

個人的な感想を言えば、ロエスダールの概論が出たからといってブレンステッズの著書が無価値となったわけではない。もちろんブレンステッズの著書は初版が1960年であり、著者本人もその5年後にこの世を去っているので、アップ・トゥ・デイトされた情報という点においてはロエスダールに及ぶものではない。しかしながら読み比べて瞭然とするのは、ブレンステッズの視線はヴァイキング時代以前を見据えているのに対し、ロエスダールのそれは中世に向いているということである。両者ともにヴァイキング時代の専門家であると同時に、前者は先史学者、後者は中世学者であることを勘案するならば当然の帰結である。現在の研究者が拠るべき結論はロエスダールのものだとしても、ブレンステッズの旧著からもロエスダールとは異なったインスピレーションを得ることができる。ただし、文献史料の用い方は両者とも素直すぎるように思う。

ロエスダールは1992年にパリ、ベルリン、コペンハーゲンを巡回したヴァイキング回顧展のオーガナイザーでもある。
Else Roesdahl & David M. Wilson(eds.), From Viking to Crusader. Scandinavia and Europe 800-1200. København, 1992, 432 p.

私の手元にあるのが英語版というだけで、カタログにはデンマーク語、フランス語、ドイツ語版もあったような気がする。最近はキリスト教化以降の中世考古学に重心を移しつつあり、例えばオーフス大学の同僚と編んだ、
Else Roesdahl(red.), Dagligliv i Danmarks middelalder. En arkæologisk kulturhistorie.København: Gyldendal, 1999, 419 s.
Id.(red.), Bolig og familie i Danmark middelalder. Højbjerg, 2003.

が代表的な公刊物であろうか。文献史料の貧しいデンマークでは文献のみで日常生活史を再現する事は難しく、従って考古学者の出番となる。北欧では歴史家と考古学者の連携がいまひとつのような気がするが、もったいない。もっとも、歴史学者による考古資料の、考古学者による文献史料の扱いがいい加減なため、互いに呆れているのかもしれないが。


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