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Medieval Religion. New Approaches [Medieval Spirituality]


Constance Hoffman Berman(ed.)
Medieval Religion. New Approaches(Rewriting Histories).
London & New York: Routledge, 2005, 422 p.

List of figures
Series editor's preface
List of contributors
Acknowledgements
List of abbreviations

Introduction, by Constance Hoffman Berman

Part 1: Religious speculation and social thought
Introduction
1. Jesus as mother and abbot as mother: some themes in twelfth-century Cistercian writing, by Caroline Walker Bynum
2. Crusading as an act of love, by Jonathan Riley-Smith
3. The orders of society in the eleventh and twelfth centuries, by Giles Constable

Part 2: Reform and growth in the clerical hierarchy
Introduction
4. Canossa and the ungendering of the public man, by Jo Ann McNamara
5. The priest's wife: female erasure and the Gregorian reform, by Dyan Elliott
6. Secular clergy and religious life: Verona in the age of reform, by Maureen C. Miller
7. The cardinals' view of the papacy, 1150-1300, by Norman Zacour

Part 3: Women and the practice of asceticism and contemplation
Introduction
8. Were there twelfth-century Cistercian nuns ?, by Constance Hoffman Berman
9. Mary Magdalen and the contemplative life, by Katherine Ludwig Jansen
10. Hearing is believing: Clarissan architecture, c. 1213-1340, by Caroline A. Bruzelius
11. "Men's duty to provide fro women's needs": Abelard, Heloise, and their negitiation of the cura monialium, by Fiona J. Griffiths

Part 4: Increasing violence and exclusion
Introduction
12. The creation of a Christian armory against Islam, by Donimique Iogna-Prat
13. Bodies in the Jewish-Christian debate, by Anna Sapir Abulafia
14. Descration of the host: the birth of an accusation, by Miri Rubin
15. The two faces of secular violence against laws, by David Nirenburg

Index

* * * * * * * * * *

「From Roman Provinces to Medieval Kingdoms」に続いて、このシリーズは二冊目。私の専門とはほとんど関係がないのだが、諸般の事情で中世の霊性についても勉強せねばならず、その導入としてはよい本かなと思う。未知の世界なので、知らない研究者も何人かいた。でも、皆さん有名人なんでしょうね。

編者は、現在アイオワ大学の歴史学教授。本来は南フランスの修道院経済の専門家であったが、その後、女性史に関する論考を多くものするようになり、その名を学会に定着させたのは、
Constance Hoffman Berman, The Cistercian Evolution: The Invention of a Religious Order in Twelfth-Century Europe(Middle Ages Series). Philadelphia: University of Pennsylvania Press, 2000, 383 p.

である。シトー会は全ヨーロッパ的現象であるので、多くの研究者が参照すべきなのであろう。私は読んでいないので、なんとも言えない。

かつての中世宗教史のテーマといえば、グレゴリウス改革以降の教会と世俗のポジション争い、そして特定の修道会(シトー会)の研究がほとんどだったと、編者は振り返る。いや、それはアメリカだけじゃないのかというつっこみは措くとして、まあ、教会と修道院の政治的・制度的側面に多くの労力がさかれていたのは確かであり、そういった意味では偏っていたといえるかもしれない。しかしながら、近年の宗教史研究は、地域社会における宗教施設の役割という社会史的考察、宗教者個人のメンタリティを抉り出すような心性史的考察、キリスト教とユダヤ教またはイスラム教といった他宗教との間の相互作用、政治的行為の中に透けて見える神学知といった、これまで限定的にしか論じられてこなかったテーマが、百花繚乱となっている。これは研究者個々人の関心が広がったという点もあるが、従来用いられることの少なかった歴史資料の校訂とその利用方法の開発が進み、また、文献史学と美術史学、典礼学、音楽学といった、これまで別のディシプリンとして独立して成果を蓄積してきた分野の連携が進んだということもあろう。最早その全てを総括することは、個人には不可能のように思えるが、ときおりジャイルズ・コンスタブルのような巨人があらわれて、全ての中世研究者に裨益する大著を公にすることがある。本書はそのような流れを受けて編まれたものであろうが、なぜドイツ系やイタリア系の研究者はいないのか。私が知る限りでも、アルトホフによるオットー期の女子修道院研究や、フルゴーニやアックロッカによるキアラ研究などは意義ある分析だと思うが…

しかし、どうしてこう霊性研究というか宗教研究には女性が多いのでしょう。編者が女性だから、知り合いの女性研究者をフィーチャリングしたということは考えられるが、アメリカの中世霊性研究を追跡していると、五十年前はいざ知らず、今は本当に女性ばかりにいきあたる。筆頭は、ジャイルズ・コンスタブルのポストを継承し、本論集の巻頭を飾るキャロライン・バイナムなのだが。アメリカ特有の現象なのかもしれないが、霊性には女性を惹きつける何かがあるんでしょうかね。こうした現状を社会学的に分析すれば、興味深い結果が出るのかもしれないが…。

本書はアマゾンのマーケット・プレイスでおとした。本来5000円を越えるものが、1500円である。「samsshop2」なるところなのだが、ここはしばしば研究書を破格の値段で提供しており、何回かお世話になった。一般には到底売れそうにない現物を、どうやって入手してんだ?


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