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図説ヴァイキングの歴史 [Medieval Scandinavia]

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B・アルムグレン編(蔵持不三也訳)
図説ヴァイキングの歴史
原書房 1990年 378+15頁


第1章 海をわたる冒険者たち(ベティル・アルムグレン)
第2章 スカンジナヴィアの居住地(ベティル・アルムグレン)
第3章 ヴァイキングの遠征(ピーター・ソーヤー)
第4章 大交易センター(シャルロッテ・ブリンドヘイム)
第5章 ヴァイキングの軍事基地(トーキル・ラムスコウ)
第6章 西方海上へ(クリスティヤン・エルドヤーン)
第7章 地中海とアジア(イヴ・ド・ブアール)
第8章 ヴァイキングの社会(トシュテン・カペッレ)
第9章 言葉の呪力(リチャード・パーキンス)
第10章 ヴァイキングの日常生活(トーキル・ラムスコウ)
第11章 ヴァイキング船(アルネ・エミル・クリステンセン)

訳者あとがき
参考文献
索引


Bertil Almgren ed.
The Vikings
Nordbok: Göteborg 1975

* * * * * * * * * *

学部時代に古本屋で購入し、卒業論文では引用したがあるが、それすら忘れていた。必要があったので引っ張り出してみたが、素晴らしい本だった。昔は気づかなかったが、執筆者は超一流。一般外国人向けだが、質は高い。原著が1975年なので、一世代前のリーディング・スカラーである。なお、本書を見返しても誰がどの章を書いたのかはわからなかったので、専門から判断して多分そうだろうと思うところに充てておいた。

ちなみに、第6章を執筆したと思われる考古学者エルドヤーンは、アイスランド共和国第三代大統領である。ついでながら前大統領のフィンボガドッティル女史はフランス語の教師である。日本の閣僚にも、それくらいの知性と教養が欲しいねえ。せっかくラサールを出て、東大法学部に進んで、大蔵省に入って、優秀な同僚を妻に貰って、国会議員になってもねえ。日教組がいやなら、口に出さず戦略的に粛々といやがらせをすればいいだろうに。

本書の一番の売りは、オーケ・グスタフソンによる挿絵である。学術書にさし絵とは何事かと考える向きもあるかもしれないが、本書の挿絵は専門家が監修した、きわめて専門的なものである。もちろんかぶとに角は付いていない。ヴァイキングに興味のある人間にとっては、一見の価値がある。本書を新刊で入手することはできないが、古本市場ではまだまだ安く手に入れられるので、この挿絵のためだけでも購入する価値はある。

訳はよい。


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