ラテン語の歴史 [Literature & Philology]
ジャクリーヌ・ダンジェル(遠山一郎/高田大介訳)
ラテン語の歴史(文庫クセジュ)
白水社 2001年 176頁
日本語版への序
はじめに
第1章 ラテン語からロマンス語へ:歴史記述のこころみ
第2章 ラテン語の音体系:その抵抗力
第3章 アルス・グラマティカ
むすび
書誌
訳注
訳者あとがき
Jacqueline Dangel
Histoire de la langue latine(QUE SAIS-JE? 1281)
Paris: PUF 1995
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京葉線に乗るといつも舞浜駅での乗車ラッシュに辟易する。不況だというのに東京ディズニーランドの入場者数は過去最高だという。誰かこの相関関係を社会学的に説明してくれ。
一年生にいきなり教科書を開いてというのもなんだから、最初にラテン語と現代語の関係でも講じようと思って本を探す。意外なことに日本語で読めるラテン語史がほとんどない。どんぴしゃはこれくらい。
専門家でない私にとって第2章はとてもつらかった。古典語は基本的に死語なので、大学でその音声について学ぶことはほとんどない。でも言葉の基本は音声。韻文は音声にしたがって言葉を選ぶし、つづりは音声に合わせて変化する。だから死語でも音声の再建が可能となる。ラテン語再建発音の基本はキケローを基準にしていたんじゃないかと思うけど、本当は時代や地域ごとの多様性がわかれば面白いのだろうと思う。私はギリシア語もラテン語もアベモトコ先生から最初の手ほどきを受けたけど、音声なんて最初の一時間だけでした。まあ綴りそのままだからね…。アーアエアエアムアーア。ホメロスの朗読テープがとても美しかったのだけは覚えています。
ラテン語の歴史であるが、例によって古典しか扱わない。813年のトゥール公会議で「説教はラテン語ではなく俗語でおこなえ」との規定によって公式にラテン語が消滅したとする。ここでいう消滅とは、ラテン語とロマンス語がはっきりとわかれたということである。中世ラテン語の歴史を論じたものは幾つかあるが、最近のものでほどよいのはこれ、さらに詳しく知りたければこれか。中世ラテン普及のために日本語でも誰か書いてくれんかね。
最初、高島屋の紀伊國屋書店に寄ったのだが、前あったはずのクセジュコーナーが一掃されていた。売れないんだね…。確かに一般人には難しいよ。丸善と合併予定のジュンク堂にはあった。