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ルーン文字の探求 [Runes]

ルーン文字の探求.jpg
ラルフ・W・V・エリオット(吉見昭徳訳)
ルーン文字の探求
春風社 2009年 258頁

例証写真リスト
謝辞
第1版への序文
第2版への序文
日本語版への序文

第1章 ルーン文字の起源
第2章 共通ゲルマン・フザルク
第3章 スカンジナビアのルーン文字
第4章 イギリス諸島のルーン文字書体
第5章 ルーン文字の名称
第6章 ルーン文字の用途
第7章 英語のルーン文字碑文

参考文献一覧
例証写真の説明(プレートI-XXVI)
訳者あとがき
碑文の索引
索引(一般)

Ralph W.V. Elliott
Runes: An Introduction. 2 ed.
Manchester UP 1989

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世の中には、私語をしたり寝たりするだけでは飽き足らず、消しゴムを教師に投げつける大学生もいるそうな。畜生に人権を与える必要はないので粛々と退学にでもすればよいと思うが、昨今はなかなかそうもいかないらしい。…40年前に学生運動とかいって迷惑をかけていた連中は退学にはならんかったのかね。

英語で読めるルーンの基本書。もともと紀要に連載されていた訳稿がひとつにまとめられ、単行本化した。なかなか瀟洒な装丁。ただし安くはない。

ルーンの概論で現在最も権威があると思われるのは、クラウス・デューウェルの『ルーン学』である(最近第4版が出た)。日本語に翻訳されたものでは、スウェーデン人のエーノクセンの『ルーン文字の世界』か、英国の碩学レイモンド・ページ『ルーン文字』(学芸書林 1996年)である。いずれも特徴があるが、エリオットのものは、ルーン文字利用の最盛期である9世紀から11世紀より以前の事例で、かつイギリスの事例をくわしく取り上げていることであろうか。エリオットは必ずしもルーン学者ではなく、英語英文学者である。本書執筆後は、ルーンとは別の研究に手を染めている。

イギリスに残るルーンの数などたかが知れているが、スカンディナヴィアとアングロサクソン世界の緊密なつながりを示す証拠として、しばしば引き合いに出される。20世紀の前半、北欧には偉大なゲルマン語学者が何人もいて、イングランドに残る証拠をもとに、言語史的な観点から両者の関係を論じていた。地名学と人名学である。現在その系譜をひく研究者は少なくなったが、日本の英語史研究者はこの固有名詞研究にもっと注目してもよい。近年ではイギリス側の研究者が、北欧の研究史が蓄積してきたデータにアクセスし、有意義な成果を出すようになっている。

固有名詞の読み方は問題。ほとんどすべて、フランスの地名ですらも英語読みになっている。

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