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The Hammer and the Cross [Medieval Scandinavia]

The Hammer and the Cross.jpg
Robert Ferguson
The Hammer and the Cross. A New History of the Vikings.
London: Allen Lane, 2009, xii+451 p.

List of illustrations
List of maps

Introduction
1. The Oseberg ship
2. The culture of northern Heathendom
3. The causes of the Viking Age
4. 'The devastation of all the islands of Britain by the heathens'
5. The Vikings in the Carolingian empire
6. Across the Bltic
7. The Danelaw I: Occupation
8. The settlement of Iceland
9. Rollo and the Norman colony
10. The master-builder: Harald Bluetooth and the Jelling stone
11. The Danelaw II: Assimilation
12. When Allah met Odin
13. A piece of horse's liver: the pragmatic Christianity of Håkon the Good
14. Greenland and North America
15. Ragnarök in Iceland
16. St Brice, St Alphege and the Wolf: the fall of Anglo-Saxon England
17. The Viking saint
18. Heathendom's last bastion

Notes
Index

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天下のペンギンブックスが放つ「新釈ヴァイキング史」。ペンギンの定番は、かつてはデンマーク考古学界の大御所ヨハネス・ブレンステズの『ヴァイキング』(1961)、その書き換えを諮ったブレンステズの弟子エルセ・ロエスダールの『ヴァイキング』(1998)であった。いずれももはや絶版。しかして登場したのが本書である。

北欧史の専門家は著者の名前を聞いても、「誰?」となるだろう。私もまったく知りませんでした。というのも、故ピーター・フートのもとで北欧史の研究を収めたあと、ノルウェー政府に雇われ、各地で北欧史のレクチャーをするという不思議なポストについた人だからである。ヴァイキングに関する専門的論文はない。そういった意味では専門家ではない。悪く言えば二次文献の切り貼りである。もっとも多少の差はあれ切り張りでない通史などありえないので、その本が通史としてのオリジナリティをもっているかどうかは、著者の歴史学者としてのセンス次第である。そのセンスは、どれだけ史料に向き合ったかでかなりの程度決定されるように私には思われるが…。

全体が物語仕立てになっているという点では、一般読者には非常にとっつきやすい。著者は北欧語にもアクセスできるので、北欧の専門誌に掲載された最新の研究までカバーしているという点でも悪くない。本書は、タイトルにあるように「鎚と十字架」、つまり「異教とキリスト教」の邂逅と相克という観点から、ヴァイキングの歴史を見直している。まだ読み終えたわけではないが、注目すべきは著者がヴァイキングの暴力性を強調している点である。交易や植民という側面に光を当てることで意図的にヴァイキングの暴力性を相対化してきた戦後の歴史記述に真っ向から対抗しているわけである。私自身はこの味方は正当なものであると思う。ヴァイキングは基本的に戦士である。彼らの多くは確かに自由農民層であったかもしれないが、それはいわゆる略奪の犠牲者となる「農民」ではない。そもそも略奪して現地に逗留し、植民者といっても支配層であった彼らが、本当に「自由農民」だったのかな。


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