Moyen Age et Renaissance au College de France [Historians & History]
Pierre Toubert & Michel Zink ed.
Moyen Age et Renaissance au College de France
Paris: Fayard 2009, 668 p., 32 euro
Introduction
Tableau de la succession des chaires
Leçon inaugurales, précédées de notices sur les professeurs
Jules Michelet (1798-1874)
Paulin Paris (1800-1881)
Gaston Paris (1839-1903)
Paul Meyer (1840-1917)
Henry d'Arbois de Jubainville (1827-1910)
Joseph Bédier (1864-1938)
Alfred Morel-Fatio (1850-1924)
Edmond Faral (1882-1958)
Gabriel Millet (1867-1953)
Charles Andler (1866-1933)
Étienne Gilson (1884-1978)
Paul Léon (1874-1962)
Lucien Febre (1878-1956)
Ernest Tonnelat (1877-1948)
Mario Roques (1875-1961)
Henri Focillon (1881-1943)
Marcel Bataillon (1895-1977)
Augustin Renaudet (1880-1958)
André Grabar (1896-1990)
Félix Lecoy (1903-1997)
Fernand Mossé (1892-1956)
Fernand Braudel (1902-1985)
André Pézard (1893-1984)
Paul Lemerle (1903-1989)
Georges Duby (1919-1996)
André Chastel (1912-1990)
Jean Delumeau (1923-)
Gilbert Dagron (1932-)
Harald Weinrich (1927-)
Pierre Toubert (1932-)
Michel Zink (1945-)
Brian Stock, Université de Tronto (Canada)
Roland Recht (1941-)
Remerciements
Index
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このブログもずいぶんと放置していた。本を読んでいなかったわけではないが、忙しくて書く気にならなかった。
フランス最高知性の殿堂コレージュ・ド・フランスの中(近)世学者の就任講演集。歴史、言語、哲学、文学、美術の錚々たる専門家の名前が並ぶ。といってもそのうち半分くらいしかわたしは知らなかった。大学の購読テクストにしようかと思って購入したのだが、中世に対する前提知識が必要な上に一コマで一段落も進みそうにないので、やめた。
トップバッターはミシュレ。「歴史と道徳」という講座であったらしい。驚くべきことにミシュレ以来中世史家はデュビーまでいない。研究者として優秀というだけであればアシル・ルシェール、フェルディナン・ロト、ルイ・アルファンらがいたが、そこはフランス、彼らには雄弁さも華もないと判断したのかもしれない。もし死ぬことがなければマルク・ブロックがその任を担うことになっていたのかな、と思う。
講座の継承一覧も出ている。なぜだか知らないが、前任者のあとを必ずしも専門が近い人間が継承するわけではないらしい。アンドレ・グラバル、ポール・ルメルルときて、常識的にはビザンティニストのジルベール・ダグロンになるのであろうが、講座という枠では、ルメルルの継承者はジャン・ドリュモーとなっている。リュシアン・フェーブル、フェルナン・ブローデル、エマニュエル・ル・ロワ・ラデュリというのはうまくいった例で、ジョルジュ・デュビー、ピエール・トゥベールのあとは認知心理学の専門家となっている。次に選ばれる中世史家は誰であろうか。…コネも大事なようだからねえ。
欧米では就任講演や招待講演が重視される。だからこそ本書のような講演集を編む意味もあるのだろう。日本でも学士院、研究専従機関の所長、歴史ある大学の特定ポストは、就任講演という作法をまねればいいのに、と思う。偉大なる前任者のポストを継承することは、蔵書の充実させ学問を継承することを意味する。就任講演はその立場表明であり、下手は打てない。失敗すれば、本人はもとより、前任者や推薦者まで笑われる。学者であれば、それくらいの緊張感はあってもいいかなと思う。