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Wickham, Medieval Europe [Medieval History]


Medieval Europe

Medieval Europe

  • 作者: Chris Wickham
  • 出版社/メーカー: Yale University Press
  • 発売日: 2016/11/29
  • メディア: ハードカバー



 オックスフォード大学チチェーレ講座を退いたウィッカムの新著。Framing the Middle Agesが400年から800年、Inheritance of Romeが400年から1000年までを扱っていたのに対し、こちらは、400年から1500年という1000年に及ぶ中世全体。それを257ページの本文でまとめている。ウィッカムの言葉によれば、Inheritanceで初期中世はより詳細にあつかったので、本書ではそれ以降の時代に全体の6割を当てるそうな。時代幅はどんどん長くなるのに、ページ数はそれに反比例して短くなる。

 ウィッカムは初期中世の専門家と思われがちですが、もともと12世紀トスカナの専門家。来日時の報告は13世紀の土地台帳の検索システム分析でした。そのトスカナは、中世後期ヨーロッパの華ルネサンスの揺籃地でもあります。ヨーロッパ史のキーとなるトスカナを定点観測し続けたウィッカムには、中世全体を見通すだけの資格がありましょう。ざっと見たところ、政治史枠の変遷はきちんと押さえつつも、彼が得意とする社会経済史にそれなりのページを割き、妻であるビザンツ史家Leslie Brubakerとの対話の結果なのでしょう、ビザンツとの関係を随所に織り込み、ジェンダーについても一章を設けています。また、オックスで進められているグローバルヒストリーの影響もダイレクトに現れており、ネットワークという言葉が所々に頭をもたげ、前著に比べて人やものの移動に大きな重心が置かれています。

 いずれの著書でもウィッカムが述べる主張があります。それは、たとえばグレゴリウス改革であるとか第4回十字軍であるとか、結果から遡って以前の時代の出来事を価値づけるteleologicalなものの見方はすべきではないとの主張です。10世紀の修道士は11世紀のグレゴリウス改革を予見していたわけではない、と。ウィッカムは、ネオマルクシストであるものの、歴史家が陥りがちな目的=結果という因果論的解釈ではなく、現象としての変化(change)に着目します。何が大きく社会を変えることになったのか。・・・しかし政治史的変化では目的論的思考を戒めはするものの、下部構造の変化に上部構造の変化を結びつけ、変化という現象をただ現象として記述するにとどまらずカテゴリー化するのは、ネオマルクシストのさがでしょうか。もっともそれがウィッカムの記述のそこかしこに見え隠れする、土地こそ全て!という中世観を生むわけですが。

 書評では居並ぶ一流中世史家が絶賛しています。程よいページ数の新世代中世論として翻訳に手を挙げる出版社が出てきてもいいんじゃないでしょうか。ただしまともな訳者を選んでいただきたいところです。ただ単純に語学ができると思い込んでいる文学者などをけっしてあてがわないように。悲劇は繰り返されてはならない。

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The Italian Renaissance state [Medieval History]

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Andrea Gamberini & Isabella Lazzarini eds.
The Italian Renaissance state
Cambridge: Cambridge UP 2012, xiv+634 p.

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Moines et guerriers [Medieval History]

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Alain Demurger
Moines et guerriers. Les ordres reigieux-ilitaires au Moyen Âge(L'univers historique).
Paris: Seuii, 2010, 414 p.

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共生のイスラーム [Medieval History]

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濱本真美
共生のイスラーム ロシアの正教徒とムスリム(イスラームを知る5)
山川出版社 2011年 120頁 1200円+税

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Storia d'Europa 3: il Medioevo [Medieval History]

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Gherardo Ortalli ed.
Storia d'Europa 3: Il Medioevo, secoli V-XV
Torio: Einaudi 1994, 1267 p.

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ビザンツ 驚くべき中世帝国 [Medieval History]

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ジュディス・ヘリン(井上浩一監訳)
ビザンツ 驚くべき中世帝国
白水社 2010年 469+xxviii頁

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イタリアの都市国家 [Medieval History]

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D・ウェーリー(森田鉄郎訳)
イタリアの都市国家(世界大学選書)
平凡社 1971年 310頁

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第四の十字軍 [Medieval History]

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ジョナサン・フィリップス(野中邦子・中島由華訳)
第四の十字軍 コンスタンティのポリス略奪の真実
中央公論新社 2007年 496頁

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森と川 [Medieval History]

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池上俊一
森と川 歴史を潤す自然の恵み(世界史の鏡 環境9)
刀水書房 2010年 154頁

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ヴェネツィア 東西ヨーロッパのかなめ [Medieval History]

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ウィリアム・H・マクニール(清水廣一郎訳)
ヴェネツィア 東西ヨーロッパのかなめ、1081-1797年
岩波書店 2004年(1979年) 

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