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アンセルムス全集 [Sources in Latin]


古田暁訳
アンセルムス全集
聖文社 1980 1029+89頁

まえがき
凡例

- モノロギオン
- プロスロギオン
- グラマティクスについて
- 真理について
- 選択の自由について
- 悪魔の堕落について
- 言の受肉に関する書簡
- 神はなぜ人間となられたか
- 処女懐妊と原罪について
- 聖霊の発出について
- 種なしパンと発酵パンの犠牲に関する書簡
- 教会の秘蹟に関する書簡
- 自由選択と予知、予定および神の恩寵の調和について

アンセルムス ― その時代とその作品
引用文献略語一覧

あとがき
年表
ラテン語版索引
邦語索引

* * * * * * * * * *

アンセルムス(1033-1109)はノルマンディにあるル・ベックの修道士。修道院長であったランフランクスに憧れ入所。師であったランフランクスのあとを承け、1093年カンタベリ大司教となる。いわゆる「ノルマン征服」の時代であり、さらに叙任権闘争の時代であることを考えるならば、アンセルムスは当該地域における中世最大の変動期を教会人として生きたことになる。

訳者は1929年生まれ。ローマ・アンセルモ大学(ルクレールの講義!)で修士号を、アメリカ・カトリック大学で博士号(The meaning of relationes necessariae in the major writings of St Anselm of Canterbury)を取得。帰国し神田学国語大学教授。『中世思想原典集成7 前期スコラ学』(平凡社 1996)の監訳者でもある。その他の訳書として、
リチャード・ド・ベリー『フィロビブロン 書物への愛』(大阪フォルム画廊出版部 1972; 講談社学術文庫 1989), 250頁
C・モリス『個人の発見 1050-1200年』(日本基督教団出版局 1983), 387頁
『聖ベネディクトの戒律』(すえもりブックス 2000), 315+27頁

がある。業績一覧として、
「古田暁教授略歴・文献目録等」『神田学国語大学紀要』14(2002), 23-28頁

アンセルムスの翻訳として、『中世思想原典集成7 前期スコラ学』(平凡社 1996)には、
「モノロギオン」(47-171頁)
「プロスロギオン」(173-247頁)
「言の受肉に関する書簡(初稿)」(248-278頁)
「哲学論考断片(ランベス写本59)」(279-309頁)
「瞑想」(311-334頁)

が収められている。全集と重なっているのは新訳ということになる。その他に、
聖アンセルムス(長沢信寿訳)『プロスロギオン』(岩波文庫 1942)
聖アンセルムス(長沢信寿訳)『モノロギオン』(岩波文庫 1946)
聖アンセルムス(長沢信寿訳)『クール・デウス・ホモ(神は何故に人間となりしか)』(岩波文庫 1948)

いずれも戦中から戦後にかけて。訳者は何を考えて翻訳に打ち込んだのか。

アンセルムスの研究として、
印具徹『聖アンセルムスの生涯 その人格と思想』(新教出版社 改訂版1989), 312頁

近刊予定に、
R・W・サザーン(矢内義顕訳)『カンタベリーのアンセルムス 風景の中の肖像』(知泉書館)
(R. W. Southern, Saint Anselm. a portrait in a landscape. Cambridge UP, 1990, xxix+493 p.)

がある。既に亡くなったが、最高のアンセルムス研究者による伝記。待ち遠しい。しばしば引かれるのはこちらか。
R. W. Southern, Saint Anselm and his biographer : a study of monastic life and thought, 1059-c. 1130(Birkbeck lectures 1959), Cambridge: Cambridge UP, 1963, 389 p.

また、
R. W. Southern, Western society and the Church in the Middle Ages(Pelican History of Church 2), Harmondsworth, 1970.

も翻訳予定と聞く。

写真はカンタベリ大聖堂。カンタベリのあるケント地方は北海に突き出ている。ゆえ、初期中世以来大陸との関係も深い。597年にローマから派遣されたアウグスティヌスは、ブリテン宣教のためにここを橋頭堡とする。


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