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中世の霊性 [Medieval Spirituality]


J・ルクレール/F・ヴァンダンブルーク(上智大学中世思想研究所監訳)
中世の霊性(キリスト教神秘思想史2)
平凡社 1997年 868頁

第一部 大グレゴリウスからベルナルドゥスまで(6-12世紀)
第1章 大グレゴリウスの思想
第2章 アイルランド霊性の浸透
第3章 ゲルマン民族の王国における霊性
第4章 カロリング・ルネサンス
第5章 混乱と改革の時代における高揚
第6章 新しい修道会
第7章 ベネディクト会の伝統
第8章 シトー会の伝統

第二部 新たな環境・新たな問題(12-16世紀)
第1章 12世紀の学究的環境
第2章 12世紀の一般信徒の信仰
第3章 フランシスコ会の春
第4章 ドミニコ会の躍進
第5章 13世紀における一般信徒と聖職者
第6章 14世紀ドイツの神秘思想
第7章 思弁的神秘思想と修道生活とに対する不信
第8章 後継者たち
第9章 14・15世紀の一般信徒の信仰
第10章 宗教改革と反宗教改革に向かって

Jean Leclercq & François Vandenbroucke
La spiritualité au moyen âge(Histoire de la spiritualité chrétienne 2)
Paris: Aubier 1961, 718 p.

* * * * * * * * * *

霊性研究のスタンダード。チームを組んでの翻訳とはいえ、よくこんな大著を翻訳したと思う。どのような分野を専攻するのであれ中世史家にとっては不可欠の書。『キリスト教史』のようにいずれ文庫に落ちてほしい。残りの巻は、
ルイ・ブイエー(堤安紀訳)『新約聖書におけるキリスト教の源流』(上智大学神学部編聖書研究叢書17)(南窓社 1982), 306頁
ルイ・ブイエ(上智大学中世思想研究所監訳)『教父と東方の霊性』(キリスト教神秘思想史1)(平凡社 1996), 746頁
ルイ・コニェ(上智大学中世思想研究所監訳)『近代の霊性』(キリスト教神秘思想史3)(平凡社 1998), 699頁

原著第一巻の前半だけ先に翻訳が出たためか、原著第二巻と第三巻の一部(ビザンツの霊性とロシアの霊性)が訳書と原著の構成が変わっている。

私は何度読んでも「霊性」という概念がよくわからない。信徒にとっては水や空気のようなものであるのかもしれないが、外部の人間にはとらえどころがない。「気」とか「徳」のようなものか。理解できていない概念を分析に持ち込むことはできず、したがって私は当面「霊性」の研究はできない。北欧ではヴァドステナの聖ビルギッタが圧倒的な存在感を誇っており、彼女の理解は北欧中世史にとって不可欠ではあるのだが。

ルクレールには献呈論文集があり、そこに簡単な伝記とビブリオが掲載されている。
Bernard of Clairvaux: studies presented to Dom Jean Leclercq(Cistercian studies series 23). Washington: Cistercian Publications, 1973, xii+264 p.

博士論文は、
Jean Leclercq, La spiritualité de Pierre de Celle(1115-1183)(Etudes de theologie et d'histoire de la spiritualité 7). Paris: J. Vrin 1946, 246 p.

いまでこそ修道院関係の研究書でセルのピエールなる人物の名前を見ることは多くなったが、それはるクレールの研究があってこそである。

著作は多いが、聖ベルナール全集の校訂者だけに、ルクレールによるベルナール伝は翻訳が欲しい。
Jean Leclercq, Bernard de Clairvaux(Bibliotheque d'histoire du christianisme 19). Paris: Desclee 1989, 165 p.

それほど大きな本ではないので、どこか頑張ってくれないだろうか。


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