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ドイツ中世後期の世界 [Classics in History]


阿部謹也
ドイツ中世後期の世界 ドイツ騎士修道会史の研究
未来社 1974年 449+lx頁

はしがき
第一章 ドイツ中世後期の世界
第二章 ドイツ騎士修道会の成立
第三章 教皇権と皇帝権の間に立つドイツ騎士修道会
第四章 ドイツ騎士修道会《国家》プロイセンの形成
第五章 ドイツ社会の変貌とドイツ騎士修道会の衰退
第六章 中世後期ヨーロッパ世界におけるドイツ騎士修道会
第七章 ドイツ騎士修道会《国家》のルター派への移行(宗教改革)
終章
あとがき

ドイツ騎士修道会国家の貨幣制度
ドイツ騎士修道会総長
研究者索引
人名索引
地名索引
引用欧文史料文献目録
独文レジュメ

* * * * * * * * * *

阿部謹也を語るとき、なぜこの全体史を取り上げようとしないのか。歴史家としての阿部は世間論と被差別民論で、西洋史家としての阿部は一連の社会史で、中世史家としての阿部は本書とオステローデの植民に関するドイツ語著書でその立場を確立した。ついでに言えば人に読ませる文章を書く才能に恵まれたという点ではエッセイストとしての阿部もあった。中世史家としての阿部を定位した数少ない文献に、

Toshiyuki Chiba, Mittelalterliche Ostsiedlung aus japanischer Sicht. Zur Rezeptionsgeschichte der europaischen Geschichtswissenschaft in Japan, in: J. M. Piskorski(ed.), Historiographical Approaches to Medieval Colonization of East Central Europe(East European Monographs 611). New York: Columbia University Press, 2002, p. 63-95.

がある。
 『ハーメルン』を読んでいなければ私は中世史の世界に足を踏み入れる事はなかった。かつて阿部史学への批判として「中世を明るく捉えすぎる」という評があったように記憶しているが、それは的外れで阿部の書き物はどれも哀調を帯びている、と思う。阿部が私淑したヘルマン・ハインペルと同様に、歴史世界の出発点には自分がおり、そして内省的である。
H・ハインペル(阿部謹也訳)『人間とその現在 ヨーロッパの歴史意識』(未来社 1975), 319*viii頁


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