The Scandinavian Reformation [Medieval Scandinavia]
Ole Peter Grell（ed.）
The Scandinavian Reformation from Evangelical Movement to Institutionalisation of Reform.
Cambridge: Cambridge UP, 1995, 218 p.
Notes of contributors
Preface
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1. Introduction, by Ole Peter Grell
2. The early Reformation in Denmark and Norway 1520-1599, by Martin Schwarz Lausten
3. The early Reformation in Sweden and Finland c. 1520-1560, by E. I. Kouri
4. The Catholic church and its leadership, by Ole Peter Grell
5. The consolidation of Lutheranism in Denmark and Norway, by Thorkild Lyby & Ole Peter Grell
6. The institutionalisation of Lutheranism in Sweden and Finland, by Ingun Montgomery
7. Faith, superstition and witchcraft in Reformation Scandinavia, by Jens Chr. V. Johansen
Index
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北欧各国は長年国家公務員としてルター派聖職者を雇用してきたので、北欧語での宗教改革研究は洪水のようにある。目と鼻の先にヴィッテンベルク大学を控えた北欧は、宗教改革の影響を十分すぎるほどに吸収した。神学を学びたいものはコペンハーゲン大学やウップサーラ大学ではなく、北ドイツまで留学していた。ドイツの宗教改革に関しては、
Ｐ・ブリックレ（田中真造・増本浩子訳）『ドイツの宗教改革』（教文館 1991）, 374+30頁
北欧各国の通史シリーズの近世編は宗教改革の記述が多くを占め、教会史講座は言うまでもない。ドイツと境を接するデンマークと、やや距離を持つノルウェーやスウェーデンでは影響の過程も程度も異なるため、その差異に注意する必要がある。本書では一方でデンマークとノルウェーを、他方でスウェーデンとフィンランドを一つと看做し、別の章を立てて論じる。
本書の寄稿者の一人が最近小著を出した。
Martin Schwarz Lausten, Den hellige Stad Wittenberg. Danmark og Lutherbyen Wittenberg i reformationstiden. København: ANIS, 2002, 208 s.
ヴィッテンベルクで学ぶデンマーク人学生についての記述もある。
最近英語で宗教改革期に関するハンドブックがいくつか出ている。そのうちの一つに、
Ole Peter Grell, Scandinavia, in: Andrew Pettegree（ed.）, The Reformation World. London & New York: Routledge, 2000, p. 257-76.
があり、短いながら宗教改革期スカンディナヴィアの全体像を見て取ることができる。筆者によれば、北欧の宗教改革研究ではまだ多くの問題が未整理のまま残されているらしい。未校訂の資料が爆発的に増加する近世のことなので、北欧に限らずさもありなんとは思うが、そもそも各国の総人口が少なく、従って研究者の数も少ない北欧は、他の国に比べてなお研究の進展が望まれるのだろう。それも聖職者を志向する教会史ではなく、社会変動の中で位置づける歴史学としての研究である。
英語で読めるカトリック改革研究で著名なものとして、
Oscar Garstein, Rome and the Counter Reformation in Scandinavia. Vol. 1, Oslo, 1963; Vol. 2, København, 1980; Vol. 3 & 4, Leiden: Brill, 1992.
がある。大部で高価なので個人での購入には躊躇する。各国ではなく、北欧教会の通史は私が知る限り一つしかない。
J. L. Balling & P. G. Lindhardt, Den nordiske kirkes historie. København: Arnold Busck, 4 udg. 1979, 350 s.
オーフス大学の研究者が執筆しており、北欧全般と言ってもデンマークの情報が多い。神学部の教科書であるためか、記述はそっけない。
