SSブログ

A critical account of the written and archaeological sources' evidence concerning the Norse settlemtns in Greenland [Medieval Scandinavia]


Henrik M. Jansen
A critical account of the written and archaeological sources' evidence concerning the Norse settlemtns in Greenland(Middelelser om Grønland 182-4).
København: C. A. Reitzels forlag, 1972, 158 p.

Introduction
1. Two papal bulls from 1053 and 1055
2. Adam of Bremen: Gesta Hammaburgensis ecclesiae pontificum
3. Ari Þorgilsson: Íslendingabók
4. Historia Norvegiae
5. Íslendingasögur
6. Eiriks saga Rauða and Groenlandinga saga
7. The typoligy of Norse Greenland
8. The Norse settlements
9. Development of the dwelling types
10. Pagan relics
11. The churches
12. Comments on the finds and the zoological materials
Conclusion of the entire investigation

Appendix to Íslendingabók
Appendix to Íslendingasögur
Appendix: Landnámabók
Summary
Bibliography
Index of persons and written sources
Index of place names

* * * * * * * * * *

グリーンランドに関する本については、以前にも書いた。本書は、といってもグリーンランドに関する学術雑誌の丸々一号分を個人が執筆しているため、正確には論文なのだが、中世グリーンランドに関する歴史記述と考古資料を概観した、まことに便利な一本である。アクセル・E・クリステンセンとオーラーヴィア・エイナルスドッティルという、一昔前のデンマーク中世史を代表する研究者に謝辞が捧げられている。

極北研究は北欧各国、とりわけデンマークのノルウェーのお家芸であり、19世紀以来、膨大な数の研究が蓄積されている。なかでもダニエル・ブルーン、ポウル・ネーロン、オーエ・ルーセル、クリステン・ヴィベックらによる、グリーンランドにおける中世居住地の考古調査に基づいた基礎研究はいまでも有効であり、現在のグリーンランド研究の担い手であるイェッテ・アルネボーも、古い発掘記録をしっかりと利用している。紀元千年以来に徐々に、西地区と東地区という居住区が形成され、その後ガルザル司教区すらできたグリーンランドであるが、中世後期以降、その居住区は一旦廃棄され、近世に再発見されるまで入植は途絶えていた。

研究の発表媒体は、本書が収められるこの「グリーンランド・レポート Meddelelser Om Grønland」であり、その充実振りを見るにつけ、人口600万弱のこの小国のもつ知的底力が実感される。1879年に創刊されたが、1980年以降は出版社を老舗のライツェルからデンマーク・極地センターに変更し、「生命科学 Bioscience」、「地質科学 Geoscience」、「人間と社会 Man & Society」の三誌に分割され、現在に至っている。

本書のほかにも、見るべき論文は多数ある。たとえば、
Daniel Bruun, The Icelandic colonization of Greenland and the finding of Vineland(Meddelelser Om Grønland), 1918, 228 p.
Aage Rousell, Farms and churches in the mediaeval Norse settlements of Greenland(Meddelelser Om Gronland 89-1), 1941.
Hans Christian Gulløv, From Middle Ages to Colonial Times: Archaeological and Ethnohistorical Studies of the Thule Culture in South West Greenland 1300-1800 AD(Meddelelser om Grønland. Man & Society 23). 1997.

 東京大学に所蔵されるこの雑誌は、その受け入れ印を見る限り、関東大震災でキャンパスが壊滅したときの海外からの寄贈リストに、その淵源があるようだ。かつて理学部が所有していたのだが、現在は柏キャンパスの総合図書館に移管された。この柏キャンパス、JR柏駅から片道260円のバスに揺られて30分の片田舎にでんと構えているのだが、公園とがんセンターを除けば、まわりに何もない。学食も飽きるだろうし、車でもなければやってられないと思うのだが、図書館だけは立派である。
 何が立派かというと、自動書庫になっており、パソコンで必要文献の「出庫」を選択すると、カウンターに自動的に上がってくるのである。早稲田の中央図書館の書庫もこのようなシステムであったように思うが、これは素晴らしい。カウンターのお兄ちゃんにきくと、「大変楽になりました」だそうです。各机にはパソコン用の電源もあり、パソコンを持ち込んで仕事をすることが前提とされた造りになっている。ただ、私が訪れた日は、授業期間の平日であったにもかかわらず、人が大変少なかった。周辺地域の方も利用できるようになっており、高校生が一人受験勉強をしていた。真新しい書架に並んでいるのは、学部レベルの基本書ばかりであったが、いくらかDVDがあったのが新鮮であった。史料翻訳のような作業は、こういう周囲に誘惑の少ないところに一月ほど籠もってやれば、はかどるのかもしれない。

写真はネットで拾ったグリーンランドのどこか。旅行にいくぶんにはいいが、こんな見るからに足の冷えそうなところに住みたいとは思わない。コペンにいるときに行ってやろうかと思ったこともあったが、グリーンランド・エアーのチケットがあまりに高価なので、やめた。なお、グリーンランドは、現在デンマークの自治領なので、デンマーク人にとっては国内旅行となる。


nice!(0) 
共通テーマ:学問

nice! 0

Skandinavier unterwe..The Christianization.. ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。