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Skandinavier unterwegs in Europa(1000-1250) [Medieval Scandinavia]


Dominik Waßenhoven
Skandinavier unterwegs in Europa(1000-1250). Untersuchungen zu Mobilität und Kulturtransfer auf prosopographischer Grundlage(Europa im Mittelalter 8).
Berlin: Akademie Verlag, 2006, 460 S.

I. Mibilität und Kulturtransfer
1. Einleitung
 1.1. Gegenstand der Untersuchung
 1.2. Terminologie
 1.3. Methoden
 1.4. Forschungsstand
 1.5. Gliederung der Arbeit
2. Quellenlage
 2.1. "Sagas und mehr" - Skandinavische Überlieferung
 2.2. "Blick von außen" - Europäische Quellen
3. Mobilität
 3.1. Krieg, Bildung, Handel - was die Resisenden motivierte
 3.2. Reiseziele
 3.3. Reisewege
 3.4. Der "Aufbruch" im 12. Jahrhundert
 3.5. Das 13. Jahrhundert - "Ankunft" in Europa ?
4. Fallbeispiel zum Kulturtransfer: Erzbischof Øystein Erlendsson
 4.1. Der Baumeister
 4.2. Augustinus episcopus
 4.3. Der Jurist
 4.4. Der Coronator
 4.5. "Tractatus Augustini"
 4.6. Øystein - Träger des Kulturtransfers ?
5. Skandinavien in Europa

II. Prosopographie
A. Biogramme der skandinavischen Reisenden
B. Mögliche Reisende
 B.1. Einzelne Reisende
 B.2. Reisegruppen
 B.3. Isländersagas

Chronilogische Liste der Reisenden
Bibliographie
Verzeichnisse
Glossar
Ortsindex
Personenindex

* * * * * * * * * *

本書は、著者が2005年夏に、エアランゲン・ニュルンベルク大学に提出した博士論文を下敷きにしている。本文は144頁、残りはすべて、海外での活動記録が残る、またはその可能性の高い北欧人のプロソポグラフィ・データである。王侯から詩人まで、史料から拾い上げられたのは総勢879人である。実証史家には、わけのわからない議論を展開されるよりも、こうしたデータのほうが遥かにありがたい。

ヴァイキング時代は北欧にとっての拡大期であり、大陸やブリテン諸島の史料に記録される、海外で活動した人物は、悉皆調査に困難を覚えるほど、多い。戦士にせよ、商人にせよ、遍歴詩人にせよ、そこかしこに「ノルマン人」や「デーン人」が見出され、そうした人物を対象とした研究も多い。しかし、ヴァイキング時代が終わり、北欧が他のヨーロッパ諸国に倣ったキリスト教国家の姿をとった後の、移動する人物に関する研究、少なくとも包括的な研究は従来なかった、と思う。十字軍、聖地巡礼、商業の復活という、それ以前の時代にも増して移動を促す社会的背景が出揃う時代であるにもかかわらず、である。そういった意味では、本書はこれから先の研究にとって不可欠の基本書であり続けるはずである。

第4章がニダロス大司教エイステインの事例研究となっており、プロソポグラフィにあがっている人物のデータをそれぞれ同様のやり方で詰めていけば、さらに充実した研究になる。

中世の旅に関しては、
ノルベルト・オーラー(藤代幸一訳)『中世の旅』(法政大学出版局 1989), viii+455+xxiv頁

が包括的だが、個人的には、
フォルカー・ライヒェルト(井本晌二・鈴木麻衣子訳)『世界の体験 中世後期における旅と文化的出会い』(法政大学出版局 2005), xiii+375+72頁

のほうが面白い。原著が出たとき、ミュンヘン大学の前の新刊書店で購入したと記憶している。中世後期に限定されてはいるが、著者はそもそもヨーロッパ世界と中国との関係で博士号を取得した研究者なので、異文化接触という視点が強く打ち出されている。妻は日本人で、香港でも教鞭をとったことがある、と書いてあったか。樺山紘一による『異境の発見』と対象が重なるが、問題設定は立ち位置をルネサンスに定めた樺山のほうが巧みである。いうまでもなく、個別事例はライヒャートのほうが圧倒的に多い。初期中世における他者認識の問題は、現在であれば、ヨハンネス・フリートの独壇場ではないかと思うが、彼はライヒャートに準じる研究を公にしないのだろうか。個人的には大変興味をそそられるのだが。

本書を購入するに当たって、驚いたことがある。最初、アマゾン・ドイツに注文を出したのだが、本書を含め複数の本は「ご指定の住所には送付できません」とでる。アマゾンに記載されている文献ごとのデータを読むと、どうも、本書のような専門書は、アマゾンが自前の倉庫に積んでいるわけではなく、注文のたびに専門書の取次店に依頼するらしい。しかしその取次店がドイツ国内のみにしか配送をしないようである。これは大変困ったことである。昔はそんなことはなかったように思うのだが。仕方がないので、古書市場に流れている新刊書を購入した。この先ドイツ書は、時間のかかるメイル・オーダー・カイザーやアド・リブロスに、注文を出さねばならないのか。


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