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Der Weg in die Geschichte [Early Middle Ages]

Der Weg in die Geschichte.jpg
Johannes Fried
Der Weg in die Geschichte: Die Ursprünge Deutschlands bis 1024
Frankfurt: Propyläen 1994, 1152 S.

Vorwort
Was heißt deutsch ?
Land und Leute
Die Voraussetzungen der Einheit
Das Werden der Einheit
Das Reich der Ottonen
Adel, Kirchen, Volk und König: Das ottonische Reich als Einheit und Wirkverbund
In der Gemeinschaft der Völker
Kirche und Frömmigkeit
Geistige Kultur
Epilog: Noch einmal: Was ist deutsch ?
Anhang

* * * * * * * * * *

日本でアナールが流行ったとき、ドイツの研究は暗い、固い、ダサいと放り棄てられた。アナールが廃れたとき、ドイツの新しい研究潮流が紹介された。アルトホフ率いるミュンスター学派である。アルトホフ、ケラー、ボルゴルテ、アンゲネント。錚々たる面々であり、確かに現在のドイツを代表する中世史家である。しかしそこにフリートの名前はなかった。ゆえ、日本でフリートの名前を知るのは、ドイツ中世史家の一部だけである。

ヨハンネス・フリートは1942年生まれ。現在フランクフルト大学の正教授である。師はペーター・クラッセン、博士号は12世紀イタリアの法曹階層の社会史で取得した。ドイツの中世史家は専門を三つくらい持つのが普通であるが、フリートは、一冊ごとにテーマをかえる。教皇庁、スラブ関係、他者認識、終末論、記憶…。もちろん通史もある。論文と編纂物は数えるのもいやになるくらい多数。ドイツ歴史家協会会長をつとめ、HZとDA双方の編集に携わる。もはやいつ寝ているのかわからない。プリンストンの高等研究所に招聘された、おそらく唯一のドイツ人中世史家でもある。かくなるアカデミック・パスだけみれば、きわめて正統かつ最高である。

本書はプロピレーエン社から刊行されたドイツ通史の第一巻である。第二巻がハーゲン・ケラー、第三巻がエルンスト・シューベルトだったように思うが、この第一巻は別格である。ページ数も桁外れだが、学術書とは思えないほどバカ売れした。その結果、この第一巻だけペーパーバックにおちた。なにか賞をとっていたようにも思う。東大の総合図書館は、なぜか第一巻だけ小ぶりのペーパーバック、二巻以降は大きなハードカバーで入っていた。ハードは売り切れで買えなかったんだろうか。私の手許にあるのはペーパーバック、この頁の写真もペーパーである。ハードカバーはクリーム色の布装だったような。

フリートの文章は特徴的である。一文一文はそれほど長くない。がしかし単語が多彩で、疑問文が多用される。慣れないうちは決して読みやすいとはいえない。テキストとして使用されると学部生は気が狂うだろう。私も最初は面食らったが、フリートのレトリックとストーリーテリングは読者を飽きさせない。それは彼が伝統的な政治史や行政史ではなく、ドイツには珍しく文化史や思想史に叙述の重心をおいているからであろう。ちょっと話が飛躍しすぎるのが玉に瑕。

アルトホフはHZ(DAだったかな)に掲載した本書の書評でフリートに徹底的に噛み付いた。フリートが、史料で確認されないカール大帝の発言を創ったからである。フリートは反論する。「当時の人間のメンタリティを考えればありだろ」。よしあしはともかく、それくらい色のある文章である。嫌いな人は嫌いだろうね。どの論文も一本で一つの世界が出来上がっていて、引用も検証もしづらいし。

フリートはもっと紹介されるべきである。私の個人的趣味だけど。
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