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ヴァイキングの暮らしと文化 [Medieval Scandinavia]

ヴァイキングの暮らしと文化.jpg
レジス・ボワイエ(熊野聰監修/持田智子訳)
ヴァイキングの暮らしと文化
白水社 2001年 330+iv頁

序章
第1章 ヴァイキングとは何か
第2章 史料
第3章 ヴァイキング社会
第4章 陸上での日常
第5章 船の生活
第6章 たいせつな日々
第7章 知的生活
おわりに

解説(熊野聰)
訳者あとがき
原註
用語解説
著者の主著一覧
参考文献

Régis Boyer
La vie quotidienne des vikings (800-1050)
Paris: Hachette 1992

* * * * * * * * * *

本書も購入後読むことなくほっておいたが、必要があって読むと良書でした、というたぐい。北欧の専門家だからといって、北欧関係の本を全部読んでいるわけではありませんよ。翻訳モノは内容の被った一般的なものが多すぎて、すべてを通読する意味がありません。それはさておき本書は、日常史を描くからといってヴァイキングを商人にしたがるのはどうかと思うが、文学研究者にしてはサガに溺れず、きちんとした歴史像をだそうとしている。私が面白いと思ったのは5章「船での生活」と7章「知的生活」。私の関心とかぶっているからでしょう。

フランスに北欧研究者はほとんどいない。かつてリュシアン・ミュッセ、その後このレジス・ボワイエ、最近(というほどでもないが)グザヴィエ・ディルマンである。フランス語圏で北欧の問題を論じるのはすべて彼らである。ちなみにミュッセは歴史家、ボワイエは文学史家、ディルマンは地名研究者(?)である。ノルマンディ研究者は少なからずいるが、彼らはまず北欧語は読めないので(人によっては英語すら読んでいない)、北欧での研究状況を反映できない。結局、ノルマンディ研究は故郷を抜きにした地方史となるわけである。

このアシェット社の「日常生活」シリーズはたくさん出ている。日本語に翻訳されているのは、私の知る限り、初期キリスト教史の何冊かとアウグスティヌスくらいしかない。いいものもあれば、よくないものもある。注の付け方が中途半端なのが気になる。

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