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Swein Forkbeard's invasions and the Danish conquest of England, 991-1017 [Medieval Scandinavia]

Swein Forkbeard's invasions.jpg
Ian Howard
Swein Forkbeard's invasions and the Danish conquest of England, 991-1017
Woodbridge: Boydell Press 2003, xvi+188 p.

List of figures
General editor's preface
Acknowledgements
Abbreviations

Introduction
Propaganda and legend: accounts of the invasions and conquest of England
Hindsight: features explaining the invasions and conquest
Swein Forkbeard's first invasion
Swein Forkbeard's second invasion
The invasion in 1006
Swein Forkbeard's third invasion
Thorkell the Tall and the English succession
Conclusion

Appendices
1. Heimskringla
2. The Anglo-Saxon Chronicle: a reconstruction of the annal for the year 1008
Bibliography
Index

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某漫画の最新刊では、スヴェンは、デンマークの豪族とウェールズの王族の娘との間に生まれた人物(もちろん架空の人物)に、息子クヌートの目の前で殺害された。それを好機として、クヌートはイングランドにいるデンマーク軍を掌握したという描写である。スヴェンの最期は同時代史料に描かれていない。スヴェンの死は謎に包まれているが、ほとんどの研究者はイングランド王となって半年後のスヴェンの突然死を自然死とは考えていないだろう。スヴェン自身は987年に宮廷革命を起こし、父ハーラルを追放してデンマーク王位を奪い取った。そのような歴史過程を知る誰もが何かを想像する。逞しくした想像力を表現できるのがクリエータであり、可能性を捨象することなく沈黙を守るのが歴史家である。

本書は、紀元千年のデンマーク王スヴェン双髭について書かれたおそらく唯一の単著である。著者について私はほとんど知らないが、いったん民間で仕事をして、そのあと学究の道に戻ってきたらしい。「Warfare in History」というシリーズの一冊であるため、スヴェンの軍事征服が議論の中心である。『アングロサクソン年代記』の記述を中心としたテクスト解釈が大半を占めるので、興味のない人にはなかなかつらい内容かもしれない。私としては自分ではやる気の起こらない仕事なのでありがたいのだが…。

確認しうるデンマーク最初の王朝であるイェリング朝は、スヴェンによるイングランド征服の前とあとで、その歴史過程の航路を大きく変える。もちろんハーラル王治下の980年代からデーン人のイングランド侵攻は再開しており、かつてのデンマーク史家の記述を踏襲して、ハーラルはデンマーク内志向、スヴェンはデンマーク外志向として、両者の関心のあり方を截然と区切ることはできない。デンマーク史という観点から注目すべきはイングランドから何がデンマークに流れてきたかである。ボルトンの新著はそこを丁寧に追求していた。さらに言えば、イングランドというよりブリテンという枠組みでものを考えるようになってきている。このような分析を突き詰めれば結局北海はひとつなんだという見方に行き着く。もちろんそうなんだけれどね…。

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