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Three Studies in Medieval Religious and Social Thought [Medieval Spirituality]

Giles Constable
Three Studies in Medieval Religious and Social Thought.
Cambridge: Cambridge UP, 1995, 423 p.

List of illustrations
Preface
List of abbreviations

I. The Interpretation of Mary and Martha
- The sisters together
- The sisters distinguished
- The sisters apart

II. The Ideal of the Imitation of Christ
- The imitation of the divinity of Christ
- The imitation of the humanity of Christ
- The imitation of the body of Christ
- The late Middle Ages

III. The Orders of Society
- Introduction
- The early Middle Ages
- The eleventh and twelfth centuries
- From the twelfth century to the end of the Middle Ages
- Appendix: mediocres(mediani, medii)in the Middle Ages

Bibliography of secondary works
Index of manuscripts
Biblical index
General index

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コンスタブルの本の作りは丁寧である。文章構成もそうであるし、英語自体も人に理解してもらおうとの配慮があるが、一番感心するのは注釈の部分である。注釈は同一頁下段にまとめられているが、引用史料の校訂版は注釈にすべてを、文献は註では名前と年号のみをあげ、詳細なデータは文末の文献一覧にゆだねている。著者、書名(論文名)、シリーズ名、発行地、発行年、頁数と、研究者が検索するに当たって必要となるデータが過不足なく掲載されている。当たり前のことではあるが、普段目を通す北欧人やフランス人の本はこのあたりでいい加減なものがあまりに多いので新鮮に感じる。霊性史では押しも押されぬ権威となったが、こういった細かいところをおろそかにしない点にプロフェッショナルとしての矜持を感じる。

本書の第三章は、コンスタブルならずとも多くの中世史家が挑戦したテーマである。なかでも、フランスのジョルジュ・デュビーとドイツのオットー・ゲアハルト・エクスレによる議論は必読文献。
Georges Duby, Les trois ordres, ou, l'imaginaire du féodalisme(Bibliothèque des histoires). Paris: Gallimard, 1978, 428 p.

古いが、今でも邦訳する価値はあると思う。本書はデュビーの一連の研究書の中でも、難解の部類に入る。名文と言われる彼のフランス語も、初学者を寄せつけない。戦後フランスを代表する中世史家としてルゴフとならび称されるが、デュビーは農村を、ルゴフは都市をそのフィールドとしていた。いずれも最初社会学、後に人類学に傾倒し、心性の解明に心血を注いだ点では共通しているが。

ゲッティンゲンのマックス・プランク研究所長を長らくつとめていたエクスレは、ドイツでいち早くデュビーを初め「アナール」に集う中世史家の議論を受け入れた研究者である。しかし、フランスでは皆が雪崩をうって社会学から人類学へと関心が移っていくなか、エクスレは一貫して社会学的なアプローチからはなれることはなかった。若い頃に随分読んだが、今読み返しても手ごたえのある論文が多い。彼の議論は明晰で、厚みがある。デュビーの議論に対する直接の反応として、
Otto Gerhard Oexle, Die 'Wirklichkeit' und das 'Wissen'. Ein Blick auf das sozialgeschichtliche Oeuvre von Georges Duby, in: Histosiche Zeitschrift 232(1981), S. 61-92.

いわゆる三職分論に関しては、
Otto Gerhard Oexle, Die funktionale Dreiteilung der "Gesellschaft" bei Adalbero von Laon. Deutungsschemata der sizialen Wirklichkeit im frühen Mittelalter, in: Frühmittelalterliche Studien 12(1978), S. 1-54.
Id., Deutungsschemata der sozialen Wirklichkeit im frühen und hohen Mittelalter. Ein Beitrag zur Geschichte des Wissens, in; Frantisek Graus(hrsg.), Mentalitäten im Mittelalter. Methodische und inhaltliche Problem(Vorträge und Forschungen 35). Sigmaringen: Jan Thorbeck, 1987, S. 65-117.

封建社会像の解明に不可欠とわかっていても、日本ではそれほど受容されたなかった議論である。今のところヨーロッパでも特に議論が進んでいる気配はない。


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