Britain in the first millennium [Early Middle Ages]
Edward James
Britain in the first millennium（Britain and Europe 1）.
London: Edward Arnold , 2001, 310 p.
List of maps
Acknowledgements
General editor's preface
1. Introduction
2. Rome and the Britons
3. Britain in the Roman World
4. Religion in the Roman Britain
5. The migration period
6. The post-Roman kingdoms
7. The missionary Church
8. Eight-century achievements
9. Viking zttack and settlement
10. From Vikings to Danes and Normans
Epilogue
Notes
Bibliography
Index
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イングランド史ではなくブリテン史、ブリテン史ではなくヨーロッパ史という考えは、既に当たり前となったのかもしれない。しかし論文レベルではそのような視点が当然の前提となっていたとしても、相応の準備期間と執筆者を要請する通史となると、イングランド史の枠組みからなかなか出る事ができないようにも見える。研究史が厚いということもある。例外は近年の「The Short Oxford History of the British Isles」であり、中世に関する巻が４冊（「After Rome」、「From Vikings to Normans」、「Twelfth and Thirteenth Century」、「Fourteenth and Fifteenth Century」）あるが、時代を遡るほどにテーマの立て方や資料の利用法が面白い。少なくとも私には。
本書が出たからといって、ステントンの通史が無価値になったわけではないし、ジェームズ・キャンベルやサイモン・ケインズのような古典的正統派の叙述がかすんだわけではない。それぞれが相補的であり、むしろ先人の叙述の素晴らしさが際立ったようにも見える。
著者はメロヴィング期の墓制の研究から入ったユニークなフランク史研究者。困った事に著書はなぜかすぐに絶版になる。「フランスの起源」がどの程度増補されているのか楽しみ。
Edward James, The Franks（The Peoples of Europe）. Oxford: Blackwell, 1991, 288 p.
Edward James, The origins of France. From Clovis to the Capetians. London: Palgrave Macmillan, 2 ed., 2006（org. 1982） in press
日本語で読むことのできるローマ期からアングロサクソン期ブリテンの研究は多くない。
南川高志『海のかなたのローマ帝国 古代ローマとブリテン島』（岩波書店 2003）, viii+224+19頁
ピーター・サルウェイ（南川高志訳・解説）『古代のイギリス』（岩波書店 2005）, iv+177頁
デヴィッド・ウィルソン（中田康行訳）『アングロ＝サクソン人』（晃洋書房 1983）, vi+220+60頁
昨年逝去したが、アングロ・サクソン社会に関心ある向きにとって青山吉信の著作は必読である。いずれも丁寧な筆運びで、精緻という言葉はこういう研究のためにある。
青山吉信『アングロ＝サクソン社会の研究』（山川出版社 1974）, xiv+406+24頁
同『イギリス封建王制の成立過程』（東京大学出版会 1978）, 381+30頁
同『アーサー伝説 : 歴史とロマンスの交錯』（岩波書店 1985）, 306+24頁
同『グラストンベリ修道院 歴史と伝説』（山川出版社 1992）, xiii+241+17頁
さて、このジェームズのもう一つの顔はＳＦ研究者。既に愛好者のレヴェルを越えているようである。
Edward James & Farah Mendlesohn（eds.）, The Cambridge Companion to Science Fiction（Cambridge Companions to Literature）, Cambridge: Cambridge UP, 2003, 295 p.
に「Utopias and anti-utopias」という項目を寄稿している。もっとも欧米ではＳＦは大人の知的な愉悦であるようだ。
