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Grabmonumente des Mittelalters [Arts & Industry]


Hans Körner
Grabmonumente des Mittelalters.
Darmstadt: Primus Verlag, 1997, 202 S.

1. Einleitung
2. Das kirchliche Leichenmonopol
3. Vom Sarkophag zur Tumba
4. Die Tumba
5. Schreine, Tumben und Grabplatten
6. Typologische Zwischenstufen
7. Das Wandgrabmal
8. Die Renaissance des antiken Grabmals
9. Die Liegefigur
10. Grabbild und Bildnis
11. Sonderformen des Grabbildes
12. Vom Grabmal zum Denkmal
13. Bescheidenheit und Erniedrigung
14. Literaturverzeichnis
Bildnachweis

* * * * * * * * * *

ヨーロッパの著名な教会を訪れると、床に歴代司教ほか著名人と思しき故人の墓碑が並んでいる。観光客はそこを踏んで回廊をめぐるのだが、いまだにその感覚がわからない。日本人であれば、罰が当たるのではないかと思うのではないか。

中世史学においても墓制や埋葬の研究は少なくない。とりわけ、中世考古学による体系的な発掘がその調査記録を残すようになって以来、飛躍的な進歩を遂げた。私の知る限り、近年のものとして、
Michel Lauwers, Naissance du cimetière: lieux sacrés et terre des morts dans l'occident médiéval. Paris: Aubier, 2005, 393 p.

がある。かなり昔に『アナール』で彼の論文を読んだことがあったが、あちこちで社会学の分析トゥールを引っ張ってきており、理解に難渋した。多分当時の私には理解できていないし、今の私は何を書いていたかすら忘れた。本書がまとまった分析結果ということになると思うので、余裕ができたら読んでみたい。

メロヴィング期にはいわゆる「ライエングレーバー」の問題があり、それゆえ、墓制に対する関心は高い。近年では、アメリカのボニー・エフロスとイギリスのギー・ハルソールであろうか。
Bonnie Effros, Merovingian mortuary archaeology and the making of the early Middle Ages(The transformation of the classical heritage 35). Berkeley: University of California Press, 2003, xviii+272 p.
Guy Halsall, Early medieval cemeteries: an introduction to burial archaeology in the post-Roman West. Glasgow: Cruithne Press, 1995, 78 p.

両者ともまだ若いが、歴史学と考古学を自らのものとしている。議論もスマート。今後の研究も楽しみ。ヴァイキング時代でもできるはずだが、まだ基礎的なデータ提供に留まっているように思う。これは自分の課題としたい。

しかし私が気になっているのは、モニュメントとしての墓である。墓碑や墓石の基礎データ収集は美術史学の範疇にあり、それこそ膨大なカタログもあろうが、モニュメントとしての社会コンテクストの再現は歴史家の仕事である。いや、無理に美術史家と歴史家を分ける必要もないのだが。で、そういう研究がどの程度あるのかということになると、あまりないのではないかと思う。埋葬規定等は教会会議決議等にいくらか残っていようが、実際に見られる墓のあり方はおそらく相当多様である。私など北欧の一時代のことしか知らないが、王の墓、在地有力者の墓、聖職者の墓は、それを目にする者に対し、それぞれ別の印象を与える。

墓というわけではないが、
マルティン・ヴァルンケ(福本義憲訳)『政治的風景 自然の美術史』(法政大学出版局 1996), 179+19頁
大原まゆみ『ドイツの国民記念碑1813年-1913年 解放戦争からドイツ帝国の終焉まで』(東信堂 2003), 120頁

は示唆的であった。しかし単なる記念モニュメントと異なり、墓は同時代の死の観念とより密接に関わる。死生観や穢れ観等、本来であれば民俗学の範疇であるが、中世における民俗学的知の利用の難しさは以前どこかに書いた。うまく噛み合えば、大変面白い結果が出ると思うのだが。

なお、
岩田重則『「お墓」の誕生 死者祭祀の民俗誌』(岩波新書 2006), 210頁

は、民俗学の側から歴史学の情報にアプローチをしており、面白かった。でも中世にまで遡るのはやはり難しいということも改めて確認した。


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