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Das Papsttum und Skandinavien bis zur Vollendung der nordischen Kirchenorganization(1164) [Medieval Scandinavia]


Wolfgang Seegrün
Das Papsttum und Skandinavien bis zur Vollendung der nordischen Kirchenorganization(1164).
Nemünster: Karl Wachholtz, 1967, 228 S.

Einleitung

A. Papsttum und Reichskirche in der skandinavischen Mission
I. St. Willibrord, erster Missionserzbishof und Dänenmissionar
II. Ebo von Reims als Missionsvilar und Begründer der Nordischen Mission
III. St. Ansgar, päpstlicher Missionslegat
IV. Das Papsttum und der Streit um das Erzbistum Hamburg
V. Die ersten Suffragane

B. Die Vorbereitung der Lösung Skandinaviens von Hamburg
I. Die Voraussetzungen
II. Die Abkehr des Papsttums von dert Reichskirchenpolitik in Skandinavien seit Alexander II
III. Vorspiel zur Errichtung des dänischen Erzbistums

C. Die Errichtung des Erzbistums Lund und dessen weitere Schicksale
I. Die Initiative König Erich Ejgods
II. Die päpstliche Zustimmung
III. Beginn einer päpstlichen Klosterprivilegierung
IV. Das Papsttum und der Streit um das skandinavische Erzbistum. Die weiteren Beziehungen zum Norden

D. Die Vollendung der Kirchenorganisation in Skandinavien
I. Die Legation Nilolaus Breakespears und ihre Folgen
II. Das Papstschisma des Jahres 1159: seine Folgen in Skandinavien

Zusammenfassung

Exkurse
I. Papst Agapit II. in den nordischen Quellen
II. Die Kardinalslegationen von 1123 und 1133
III. Die Aufnahme päpstlicher Legaten in Skandinavien

Quellen- und Literaturverziechnis
Verzeichnis der Quellen und Hilfsmittel
Verzeichnis der benutzen Literatur
Abkürzungen

* * * * * * * * * *

教皇庁の動静は中世史学にとって核心問題となる。教皇ではなく、教皇庁である。教皇庁のトップは確かに教皇という一個人だが、教皇庁は法人団体に等しく、ピピンによる教皇領の寄進以降、支配対象となる領域を策定し、その領域ならびにヨーロッパの教会網を差配する官僚組織が形成された。教会ヒエラルキーの頂点に立つ教皇庁は、書簡や破門という手段によって、ヨーロッパ中世世界のリアル・ポリティクスに参与する。宗教心性というメンタル面と、教会法というハード面双方から、中世人の活動に干渉するのである。

本書は、北欧と教皇庁との関係を論じるにあたって、まず参照すべき研究書である。1164年とは、ウップサーラ大司教区が成立することで、ルンド、ニダロス、ウップサーラという北欧の三大司教区による教会組織の基礎が確立する意義深い年であり、たしかに北欧教会史は、この年以前と以後で分けて考えると理解しやすい。カロリング期から12世紀まで、可能な限りの史料に当たり、史料証言から引き出せる事実を整理している。残念ながら、北欧の教会が独自の文書を残し始めるのは12世紀に入ってからであり(解釈の難しい写本は11世紀以前にもあるが)、本書が扱う時代はほとんど外部の資料証言に頼らざるを得ない。そういった意味では、同時代の教皇庁やハンブルク大司教座の文書作成技術、また大陸やイングランドの年代記や編年誌の記述伝統に通じることは、それらが伝えるデータの偏向を是正するに当たって不可欠であるといえる。他の地域に比べて効率の悪い作業をしなければならないが、それが初期北欧史を専攻する者が少ない理由のひとつでもある。なお、本書と同じ時期を扱った通史として、
Tore Nyberg, Skt. Peters efterfølgere i brydningstider omkring pavedømmets historie Rom og Nordeuropa 750-1200. Odense: Odense Universitetsforlag, 1979, 188 s.

小著ではあるが、こちらのほうがゼーグリュンよりも躍動感がある。

ハドリアヌス四世(1100-59)は、登位前の名をニコラス・ブレイクスピアという。バース司教区に属する司祭の家系に生まれた彼は、イギリスのセント・オルバンズ修道院で教育を受け、1137年にはアルル近郊のサン・ルフス修道院の院長に選出される。教皇エウゲニウス三世に見出されるや、アルバーノ司教枢機卿に任じられ、1152年から54年まで教皇特使としてスカンディナヴィア各地を歴訪する。前任教皇アナスタシウス四世が在位一年にして急死した後、ニコラスは教皇に選出され、ハドリアヌス四世を名乗る。1154年12月9日のことである。

教皇の代理人であるニコラスの登場により北欧の教会組織は根底から改変された。スコーネのルンド大司教座が、ハンブルク大司教座の管轄より離れたのは1104年頃であり、爾来ルンドが北欧全域の教会組織を統括する位置にあった。このルンド大司教座の確立は、単に教会政治のみならず、世俗世界による働きかけも相乗しての結果であったが、ニコラスの登場により、1154年にノルウェーのニダロス(トロンハイム)に新たな大司教座が設置された。さらに、スウェーデンのガムラ・ウップサーラにも北欧東部を統括する大司教座の開設が画策されたが、実際にパッリウムが用意されるのは、次期教皇アレクサンデル三世の在位期である1164年になってからである。いずれにせよ、ニコラスは北欧の教会史にとって最も重要な教皇である。

北欧史に限らずとも、ハドリアヌス四世は、ビザンツとノルマン人が角逐するイタリア南方世界、フリードリヒ・バルバロッサが台頭する北ドイツ世界、ヘンリ二世がアイルランドへ侵攻するブリテン世界へも積極的に介入する。彼は歴代教皇史において唯一のイギリス出身者であるが、彼が教皇位にあった時代はヨーロッパが編制されつつある時代であり、また彼自身もその編制過程におけるキー・プレイヤーであった。これほどの人物であってみれば、研究蓄積も膨大であろうと思うのが普通であるが、実はほとんど未開拓である。基本書がノルウェー語による
Arne Odd Johnsen, Studier verdrørende Kardinal Nikolaus Brekespears legason til Norden. Oslo: Aschehoug, 1945.

であり、私の知る限り彼に関する論文集も、
Brenda Bolton & Anne J. Duggan(eds.), Adrian IV the English pope(1154-1159). Studies and Texts. Aldershot: Ashgate, 2003, 344 p.

しか思い当たらない。もちろん論文レヴェルではいくつかあるのだが、伝記の一冊くらいあってもよさそうなものである。私の調べ方が悪いのかもしれないが。ただ、グレゴリウス七世やインノケンティウス三世のような中世を代表する教皇ですら、決定版といえる伝記研究はないのではないか。そもそも書簡をはじめとする関連史料が全て公刊されているかどうかも怪しく、一般史、教会史、教会法史が十分に噛み合っているようにも見えない。個人でやる場合には何を採用し、何を切り捨てるのかが焦点になることを考えるにつけ、大変な分野なのだろうなあと思う。

本書が扱わない1164年以降の北欧と教皇との関係に関しては、通史というものはおそらくなく、いくつかの研究書がある。ただ、ほとんどは各国史単位であり、たとえばデンマークに関しては、
L. Moltesen, De avignonske pavers forhold til Danmark. København, 1896.
Johannes Lindbæk, Pavernes forhold til Danmark under kongerne Kristiern I og Hans. København, 1907.
P. G. Lindhardt, Danmark og reformkoncilierne. Studier over den danske kirkes forhold til de konciliære reformbestræbelser 1414-1443. København, 1942.
Per Ingesman, Provisioner og processer. Den romerske Rota og dens behandling af danske sager i middelalderen. Århus: Aarhus Universitetsforlag, 2003, 829s.

などがある。どれも手元にあったように思うのだが、部屋の中に見当たらない。欲しいときに見当たらないというのは持っていないに等しく、それを避けるためにも本棚が20位並ぶ80平米くらいの部屋が欲しい。ああ欲しい。

写真はネットで拾ったハドリアヌス四世の肖像。近代のものだとは思うが、出典はわからない。


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