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Nordens historia. En europeisk region under 1200 år [Medieval Scandinavia]


Harald Gustafsson
Nordens historia. En europeisk region under 1200 år
Stockholm: Studentlitteratur, 1997, 297 s.

Förord
Förteckning över kartor och bildkällor
1. Perspektiv på nordisk historia
2. Nordens första europeisering. Cirka 800-1100
3. Medeltidssamhällets organisering. Cirka 1100-1350
4. I agrarkrisens skugga och sol. Cirka 1350-1510
5. Två lutherska furstestater. Cirka 1510-1610
6. Maktstater och bondesamhällen. Cirka 1610-1720
7. Nya tankar i ett gammalt samhälle. Cirka 1720-1815
8. Nya former för ett nytt samhälle. Cirka 1815-1870
9. Industrisamhället. Cirka 1870-1914
10. Den bräckliga demokratin. Cirka 1914-1945
11. Klyvning och mångfald. Cirka 1945-1994

Litteraturtips
Namnregister

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以前にも書いたが、北欧中世史の概説はほとんどない。では、北欧史の概説はどうかというと、これもまた驚くほど少ない。北欧人も含め、北欧の歴史に関心を持つ者が長らく参照してきた通史は、ノルウェーの近現代をフィールドとしてきたジャーナリストの手になる英書である。
T. K. Derry, A history of Scandinavia: Norway, Sweden, Denmark, Finland and Iceland. Minneapolis: University of Minnesota Press, 1979, x+447 p.

これはこれでよくできており、流れるような文章ゆえに読みやすいが、それは本書が叙述的であることを意味する。要するに、北欧史物語なのである。かつて邦訳しようとの計画もあったようだが、残念ながら流れてしまった。

北欧、と一口に言う。現在の国家単位で言えば、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランドの五カ国である。しかし、文化も政治も、外の人間が考えるほどに一様ではない。言語面では、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンは、まあ共通部分が多いといってもよいが、アイスランド語は同じゲルマン語といってもまったく意志の疎通はできず、フィンランド語にいたってはそもそもの語族が異なる。デンマーク、スウェーデン、フィンランドはEUに加盟しているが、アイスランドとノルウェーは独自路線を採用している。また、三カ国はEUに加盟しているとはいえ、ユーロを採用しているのはフィンランドだけであり、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、アイスランドはそれぞれ別個のクローネが通貨となっている。北欧を短期間であちこち回ると、両替やら何やらで面倒くさい。ただ、北欧はカード社会で、かなりのところでVISAが利用できる点はありがたい。

1953年生まれのハラルド・グスタフソンは、現在ルンド大学教授。近世スウェーデンにおける国家形成論を専門とし、歴史社会学的なその議論の見通しのよさから、北欧で最も知られた歴史家の一人でもある。名前から了解できるようにアイスランド系であり、学位論文は父祖の地を扱った。
Harald Gustafsson, Mellan kung och allmoge: ämbetsmän, beslutsprocess och inflytande på 1700-talets Island(Acta Universitatis Stockholmiensis 33). Stockholm: Almqvist & Wiksell International, 1985, 319 s.

さて、本書の各章を訳すとすれば、次のようになるだろうか。「1.北欧史への視座」、「2.北欧最初のヨーロッパ化」、「3.中世社会の組織化」、「4.農業危機の影と光のなかで」、「5.二つのルター派君主国家」、「6.権力国家と農業社会」、「7.ある古社会のなかの新思考」、「8.新社会のための新形式」、「9.産業社会」、「10.脆弱なデモクラシー」、「11.二層と多層」。本書が指摘する北欧史の見方は二点あり、一つは「ヨーロッパの中の北欧」、もう一つは「個性ある社会が重層する北欧」であろうか。私の個人的な見方や関心と重なるところもあり、裨益するところは少なくない。北欧の研究者は、基本的に一国史観が多いが、グスタフソンはアイスランド研究を出発点とし、デンマークとスウェーデンが重層するスコーネのルンドで研究を進めていることもあり、だからこそ本書を仕上げることができたのだろう。

本人とはルンドの書店で会ったことがあり、少しお話しした。コペンハーゲンで講演をしたこともあり、指導教官と一緒に拝聴した。彼の妻はハンネ・サンデルスといって、ルンド大学のデンマーク研究センターの責任者であり、デンマーク滞在中に出席したある研究集会でお世話になった。その成果は、
Peter Carelli, Lars Hermansson, Hanne Sanders(red.), Ett annat 1100-tal. Individ, kollektiv och kulturella mönster i medeltidens Danmark. Lund: Makadam, 2003, 376 s.


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