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法王庁 [Medieval History]

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小林珍雄
法王庁
岩波新書 1966年 v+182+11頁

はしがき
1.ローマ法王
2.バチカン市国
3.枢機卿
4.法王庁の聖省
5.裁判所・諸官署・宮内部
6.むすび 法王庁の改革
付録 歴代法王表

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教皇庁は、枢機卿が成立し組織化される11世紀以来、歴史の様々な局面で重要な役割を果たしてきた。にもかかわらず、日本語で読める参考書は実のところ大変少ない。本書は古いが、その官僚制度を知る上で今でも基本書として役に立つ。というかこれ以外にない。著者はもと上智大学教授なので、内部から理解している。印象論ではなく、具体的な数値とシステムをあげているため、使い勝手がいい。以前買ったものがどこにいったかわからなくなったので、古本屋のワゴンに並んでいたものをまた買った。

日本ではほとんど無関心に近いが、教皇庁研究で絶対に不可欠なものがある。教書、図書館を含む文書館、禁書目録、聖遺物管理である。私の手許にも幾つかの研究書や論文はあるが、本腰を入れて取り組む人が出てきてくれればいいと思う。中世ばかりでなく、近世から近代にかけての研究ももっとなされるべきであろう。

岩波新書のバチカン関係は以下の二冊。
小林珍雄『法王庁と国際政治』(岩波新書 1949年)
郷富佐子『バチカン ローマ法王庁は、いま』(岩波新書 2007年)

宮下宏・藤谷健『ローマ法王 世界を駆けるヨハネ・パウロ2世』(岩波ブックレット537 2001年)

たぶんこのヨハネ・パウロ2世(1920-2005)は歴代教皇の中でも特筆すべき存在になるだろうけれど、きちんとした歴史的評価がなされるまで、あと数十年はかかるだろう。2002年にたまたまポーランドをぶらぶらしているとき、宿屋のオヤジが「ヴォイティワ(ヨハネ・パウロ2世の本名)が明日ポーランドに帰ってくるぜー。だから明日は臨時休業」とか言っていた。ポープマン吹いた。読みてー。


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