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Heidenchristen im Norden [Medieval Scandinavia]

Heidenchristen im Norden.jpg
Torsten Capelle
Heidenchristen im Norden
Mainz am Rhein: Philipp von Zabern 2005, 87 S.

Vorwort
Einführung
Voestufen
Der Norden
Nachzügler
Auslkang
Literatur
Abbildungsnachweise

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著者は1939年生まれで、ミュンスター大学の初期史講座の教授。一貫して北欧の異教信仰の研究をすすめている。ドイツ人だがウップサラでも学んだ。一度講演を聞いたが、スウェーデン語はむちゃくちゃうまかった。うますぎて私には何を言っているのかわからなかった。

本書は、北欧の様々なキリスト教遺物の中に残る異教をサーヴェイしている。そういった観点の宗教史の論文は少なからずあるが、一冊でまとまったものは珍しい。もともと異教世界だったとことがキリスト教に変わったからといって、以前のものがすべて消え去るわけではない。白が黒に変わるのではなくて、白が灰色になるわけである。北欧神話の刻まれた教会や十字架の彫られたルーン石碑なんてものがでてくるわけである。その移行のプロセスが面白いのだが、正確な年代確定ができないのがはがゆい。前に書いたシュミットの研究で北欧は扱われていないが、北欧を射程に入れるのと入れないのとでは叙述の結果が大きく異なるように思う。

カペッレはあまり長いものは書いていないが、
Torsten Capelle, Kultur- und Kunstgeschichte der Wikinger. Darmstadt 1986.

は面白い本。学部向けの小著だがヴァイキングの文化史・芸術史というのも珍しい。モノが中心なため歴史家にはなかなか書けないタイプの本で、参考文献をみても私が参照するものとはだいぶ違う。ヴァイキングの通史は考古学者による似たり寄ったりのものばかり翻訳されるが、こういった変化球のものもあると本当は面白い。

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