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Autour de Gerbert d'Aurillac [Early Middle Ages]

Gerbert in Aurillac.jpg
Olivier Guyotjeannin & Emmanuel Poulle ed.
Autour de Gerbert d'Aurillac. Le pape de l'an mil.
Paris: École des chartes 1996, xiii+371

Avant-propos
Liste des collaborateurs
Crédits potographiques

1. partie: Le théâtre du monde
2. parite: L'ordre du siècle
3. partie: L'ordre ecclésial
4. parite: La quiétude des bibliothèques
5. paritie: Gerbert in memoria

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ランス大司教ジェルベール・ドリヤック(946-1003)は、999年にグレゴリウス5世を継いで紀元千年の教皇シルヴェステル2世となる。初めてのフランス人教皇である。それまで教皇は、あくまでイタリア人であった。教皇は確かにヨーロッパ世界では普遍的権威であるが、その前にイタリア人貴族であることを忘れてはならない。彼らはイタリア政治のネットワークに絡めとられており、その利害のなかで教皇として選出される。実はこの紀元千年という時代は教皇史においても非常に重要な時期である。というのも、枢機卿団がかたちをとりはじめ、教皇庁が官僚組織としてその制度を整え始めるのも、まさにこの時期だからである。加えて言えば、グレゴリウス改革前夜である。グレゴリウス改革が生起するメカニズムは、この紀元千年の教皇前後の、イタリア人教皇のネポティズムに端を発する。

本書は、フランスが誇る国立文書学校の関係者が、初めてのフランス人教皇を記念し、総力を挙げて作成した史料集成である。史料の解説は、アツマ、バルテルミー、ブガール、ジンメルマン、ゴーティエ・ダルシェ、パリス、パラッツォといったフランス中世史に関心のあるものならば誰でも知っている研究者が筆をとっているため、安心して依拠できる。シルヴェステル2世といえば、その書簡集と数学的著作で著名であるが、本書には、彼自身の著作と共に、タイトルどおりにその周辺の著作群を収めている。写真、ラテン語転写、翻訳、解説と懇切丁寧。紀元千年に特化した中世ラテン語教本としても使える。

紀元千年の教皇に関する研究は、意外に少ない。近年の伝記としては、書簡集の編者であるピエール・リシェが1987年に書いたものにとどまる。紀元千年の皇帝オットー三世とともに、この時期に関心のあるものにとっては、とても魅力的な人物である。スペインからハンガリーまで、彼の関わった地域は広い。

写真はオーリャックにたつジェルベールの像。

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