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Medieval Africa [Medieval History]

Medieval Africa.jpg
Roland Oliver and Anthony Atmore
Medieval Africa 1250-1800
Cambridge: Cambridge UP 2001, viii+251 p.

List of maps
Preface

1. Introduction
2. Egypt
3. Ifriqiya and the Regencies
4. The Islamic Far West
5. The Western Sudan and Upper Guinea
6. The Central Sudan and Lower Guinea
7. Nubia, Darfur and Wadai
8. The North-Eastern triangle
9. The Upper Nile Basin and the East African Plateau
10. The heart of Africa
11. The land of the Blacksmith Kings
12. From the Lualaba to the Zambezi
13. The approaches to Zimbabwe
14. The peoples of the South
Epilogue

Further reading
Index

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アマゾンで別の本を探していたらヒットしたので買ってみた。教科書なので記述は淡々としているが、地域別に概観しているので最初の整理としては便利。また、各章についている地図は人や物の流れを図示しているのでなかなか使いやすい。しかし「Medieval」なのに「1250-1800」というのはどうなのか。アフリカ史では列強分割以前の18世紀までは「中世史」なのか。古代・中世・近世・近代という時代区分を当たり前に使っている「ヨーロッパ」史研究者の「日本」人としては不思議な感じもするが、まあ世界的に見ればそのような時代区分ができる地域のほうが少ない。世界史という視点に立てば、ヨーロッパ史や日本史の時代区分に必然性はないということが良く分かる。そういえば昔、シナの歴史上中世はあったかどうかというよくわからない論争があったな。

著者はロンドン大学の名誉教授。詳細はよく知らないが、この分野では世界的権威であるらしく、以前から翻訳もある。
『アフリカ史の曙』(岩波新書 1962年)
『アフリカの歴史』2巻(時事新書 1964年)

サハラ以南のアフリカの歴史は、そもそもどういった史料があるのかすらよくわからない。考古学とアラビア語が主となるのだろうが、アフリカ史料学なんてものはあるのだろうか。多分ないよねえ。植民地の研究は国策なのでイギリスとフランスでさかんであるはずなのだが、本書は基本的に英語の研究に依拠している。以前に読んで興味深かったのが、
石川博樹「エチオピア王国ソロモン朝の衰退と州統治者:ゴンダール期(1632-1769)における統治者称号の分析を通じて」『史学雑誌』107編4号(1998)1-38頁

エチオピア王国はキリスト教で有名だが、日本で研究している人もいるんだと思った。

高校で1960年はアフリカの年と習ったが、それに関連しての事だろう。1960年代にはアフリカ関係の翻訳が多数出ている。比較的新しい中世アフリカ関係のものとして、
D・T・ニアヌ編(宮本正興監訳)『ユネスコ・アフリカの歴史4 12世紀から16世紀』2巻(同朋舎 1992年)
B・デビッドソン(貫名美隆・宮本正興訳)『アフリカ文明史 西アフリカの歴史1000年~1800年』(理論社 1975年)
宮本正興・松田素二編『新書アフリカ史』(講談社現代新書 1997年)
私市正年『サハラが結ぶ南北交流』(山川出版社 2004年)

がある。近日中には、川田順造編『新版世界各国史 アフリカ史』(山川出版社)もでるらしい。新版世界各国史の最終巻である。アフリカと言えば文化人類学者ばかりだが、歴史をきちんと書ける人もいらっしゃるのだろうか。なお今月末にこのシリーズでは随分と待たされたイタリアがやっと出るようである(三巻本で世界歴史体系も準備されているようだが、本当に出るんだろうか)。

現在のアフリカは何がなんだかよくわからない。高校で習ったときの事情からはずいぶん遠く隔たってしまったように思える。ダルフールの民族紛争とかジンバブエのような超インフレ失敗国家とか、どういうプロセスでそうなるのか。かつては宗主国による抑圧と民族差別が云々という単純な外因的理由付けでしのいでいたが、ニュースや解説を見ている限りどうもそれだけではないようだ。旧宗主国との関連よりも、資源(や国連での票)目当ての中国やアメリカとの関係が強くなっているようにも見える。

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