SSブログ

La Hanse [Medieval History]

La Hanse.jpg
Philippe Dollinger
La Hanse, XIIe-XVIIe siécles
Paris: Aubier 1964, 598 p.

Introduction

1. partie: De la Hanse des marchands à la Hanse des villes (XIIe-XVIe siécles)
Ch.1: L'Europe du Nord dans la première moitié du XIIe siècle
Ch.2: La fondation des villes allemandes de l'Etat et l'association des marchands de Gotland (v.1150-v.1280)
Ch.3: Vers la Hanse des villes (v.1250-v.1350)
Ch.4: La Hanse des villes, grande puissancde de l'Europe du nord (v.1350-v.1400)

2 paritie: La Hanse au XIVe et XVe siècle
Ch.1: L'organisme hanséatique
Ch.2: Les villes
Ch.3: Navires, navigation, armateurs
Ch.4: Les marchands
Ch.5: La politique économique de la Hanse. Les concurrents
Ch.6: Le commerce hanséatique
Ch.7: La civilisation hansèatique (XIIIe-XVIe siècles)

3 partie: Crises et déclin (XVe-XVIIe siècles)
Ch.1: La montée des périls (v.1400-v.1475)
Ch.2: L'affaiblissement (v.1475-v.1550)
Ch.3: Renouveau et effacement

Conclusion

Documents

Liste des villes hanséatiques
Bibliographie génerale
Chronologie de l'histoire de la Hanse
Index
L'histoire hanséatique depuis vingt-cinq ans
Complèment bibliographique
Tables des planches
Cartes

* * * * * * * * * *

写真はドイツ語版。フランス語版は1964年に初版が刊行され、88年に改訂増補版がでた。中世経済史の基本書にして、ハンザに関するもっとも信頼できる通史である。ドイツ人ではなくフランス人(といっても著者はドイツとの境であるストラスブール大学の人だが)による著作というのもまたよい。最もよい北欧中世の通史が、やはり北欧人ではなくフランス人であるリュシアン・ミュッセによって、ドイツ東方植民の概論がシャルル・イグネによって書かれたというのに通じるものがある。

著者はマルク・ブロックの教えを受け、バイエルンの地域研究で博士号を取得した。つまりドイツ語も堪能ということである。本書の内容は素晴らしい。中世経済史となるとどうしても地中海の事例が取りざたされるが、北海にもこれだけのものがあったということがわかる内容。翻訳はゆっくりと進んでいる。

日本において地中海に比べ北海の経済史研究が活況を呈していない理由の一つに、文書史料の問題がある。ハンザの最盛期である中世末期北海・バルト海圏の公式言語は低地ドイツ語である。しかしこの低地ドイツ語が厄介なのである。つづりを発音してみれば現在のドイツ語と似てなくもないが、その度合いは、中世末期のイタリア語と現代イタリア語との間の差よりも大きいように思える。聞くところによれば、ハンザ史研究で大事な史料であってもまだまだ未刊行のものが多く、開拓すべき箇所は少なからずあるようだが…。

フランス語では「ハンザの文明 la civilisation hansatique」となっているところが、ドイツ語版では「ハンザの文化 Hansische Kultur」に置き換えられている。フランス語のcivilisationとドイツ語のKulturは大いに違う概念だと思うが、これはドイツ語訳者の側にそうしなければならない理由があったのだろう。ハンザ=北ドイツというのが通年だが、ドイツ文明という言い方はない。フランスの「文明」とドイツの「文化」の差異は、概念史上の大きなトピックになりうる。私が知らないだけで、研究はあるのだろうけれども。

おまけの史料がよい。

共通テーマ:学問

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。